ようやく、どうにか発売にこぎ着けることができましたEF15形・EF16形、大変お待たせを致しまして申し訳ございません。いつだ?いつだ?と催促やお叱りを頂く一方で「どーせ遅れるんでしょう?」と妙に納得されてしまっているお客様もいらっしゃるというのは、メーカーとして申し訳ない以上に恥ずかしい限りであります。『模型屋の常識、社会の非常識』なんてことにならぬよう常日頃努めていく所存です。が、反面、製作側は趣味人としてのこだわりもなかなか捨てられずにいます。発売が遅れたことに言い訳にはなりませんが、こんなこだわりが我々のEF15形・EF16形の中に活きているということが少しでもご理解頂ければ幸いです。
C62形 2号機やEF58形 61号機などのような『スーパースター』が見出し難いEF15形・EF16形の場合、特定番号機を作るのは難しく、最大公約数的なスタイルをプロトタイプにすることになりますが、皆様ご存知のとおり実機の形態は登場時期やメーカー、また後年の改造なども含めて千差万別です。特に1次型と呼ばれる戦後すぐに製造されたグループは当時の資材難が影響していたのか、新製時から同じメーカーのものでも個体差があったようでモチーフの選定には苦労しました。模型ではEF15形初期型とEF16形の2種がこのグループに属します。
①車体高70mm差へのこだわり
1次型内での差異のひとつに車高があります。1次型の中でも川崎車輌の初期製造分は3560mm、それ以外は3460mmでした。2次型以降は
3530mmなので川車初期型は標準型に近いのですが、模型化にあたってはやはり大多数である低屋根の1次型の特徴を盛り込みたい!ということでEF15形 初期型&EF16形では車体断面が低く屋根Rが浅い車体とし、EF15形 標準型/最終型とはちょっと印象の異なる『顔立ち』を再現しています。実車で70mmの差なので模型だと1mmにも満たない差異ですが、それでも屋根Rの深さやステップの数なども異なります。是非2種の車輌を並べて見比べて頂ければと思います(少しデフォルメしてつぶれた感じを強調してみましたがいかがでしょうか?)。ちなみに弊社では過去の真鍮製品でもこの『低屋根タイプ』は製作したことがありません。
②側窓間隔へのこだわり
EF15形は側面の明り取り窓が片側5個(登場時は4個)の1次型タイプと2次型以降の7個のタイプに大別されることが多いですが、この窓の配置や形状にも細かな差異があります。最終型のHゴム支持タイプは有名ですね。1次型では例によって窓の間隔にも個体差があります。中央3個の窓の間隔が微妙に異なる数パターンが存在しました。模型では設計当初、2番目と4番目の窓が中央の窓に寄った極めて7個窓タイプの位置関係に近いものをプロトタイプとして選定しました。しかし、中央3個の窓間隔がやや開いている方がより初期型の雰囲気をかもし出しているのではないかと判断し設計変更をしています。実はこの時点では設計も終わり金型の製作に入った後だったのですが、わずか数ミリ、窓を移設するために急遽金型を作り直すことにしました。
この他にもこだわりは随所にありますが、それはまたの機会に…。
しかし、EF15形・EF16形の参考資料とゆうのはEF58形などと比べると少ないです。書籍もそうですがインターネット上でもなかなか情報がありませんでした(元々ネット上では国鉄時代の情報が少ないんですけどね)。そのような中でKobanekoさんの『想い出の日本国有鉄道』というホームページは大変参考になりました。
EF15形とEF58形、元が同じでも客貨でこんなに差がつくとは…。総数の多かったEF15形・EF16形の方が動態・静態を含め残存率も少ないですしね。 (2006.4.12)