D51形蒸気機関車は日本の代表的な機関車として知られ、全国の幹線・亜幹線を中心に、重荷貨物列車の牽引に活躍しました。
急勾配の多い線区では、貨物列車のみならず旅客列車の先頭にも立ち、D51形が活躍する場のひとつですが、勾配区間に加えて長大トンネルや連続したトンネルを有する線区では、以前から機関車の煤煙に乗務員・乗客は苦しめられました。
この状況を打破するため、煙突からの排気の流れを変え、乗務員・乗客が煙に巻かれないよう考案されたのが集煙装置です。
敦賀機関区のD51形に始まり、それは山岳路線を走る機関車に広く普及しましたが、各地の工場で独自に製作されたため、敦賀式や鷹取式、長野式などそれぞれ特徴がありました。
集煙装置に加え、燃焼効率アップや煤煙軽減、機関助士の労力減少に効果のある、重油併燃装置を装備し、より重量感と力強さを持ったその姿は『重装備』とも呼ばれます。
今回模型化いたしましたのは、奈良運転所(旧 奈良機関区)に配置され、鷹取式集煙装置と重油併燃装置の両方を装備し、関西本線の難所『加太越え』に挑んだ、まさに『重装備』のD51形です。
その中でもデフレクターに装飾を施した 831号機《つばめ》、882号機《月と鹿》、906号機《はと》、940号機《かもめ》の晩年の姿となっております。