日頃より当社を応援頂き心より御礼申し上げます。
お蔭様で昨年、模型部創設55年を迎えることが出来ましたのも、皆様のご愛顧の賜物と感謝致しております。
さて平成15年より、天賞堂としては初めてのプラスティック製品を発売させて頂きましたが、今まで真鍮製品だけを手掛けてまいりましたので、意外に思われた方も少なくなかったのではないでしょうか。
我が国の鉄道模型の歴史を振り返ってみますと、市場規模や住宅事情のせいもあって欧米諸国と異なる道を歩んできました。欧米では比較的早くからプラスティック製品が主流になり金属製モデルの購買層は本当に一部のコレクターに限られておりました。一方我が国では、市場規模の大きさと、より良い製品を希望される、レベルの高いお客様の要望により、手工芸品的とも言える細密な製品が中心となり価格も大変高価にならざるを得ませんでした。
私共も反省するところですが、この結果HOゲージを楽しめる方は減少し、購買しやすいNゲージが市場の大半を占める状況になっています。HOゲージとNゲージは、それぞれ特徴がありどちらが優れているかを決めることは不可能ですが、価格及び販売数を考慮すると天賞堂製品のお客様は一部の方だけだと言うのが現状と言わざるを得ません。
弊社がプラスティック製モデルの製品化を企画した時にまず考えたのが、お求め易い価格でご提供することでした。そして同時に真鍮製モデルをご支援頂いている理由である細密さと、READY TO RUN 「加工無しですぐ楽しめる」を追求致しました。無論すべての工業製品がそうであるように、より高品質と低価格を同時に追求することはとても難しいことですが、長年鉄道模型に携わってきた経験によって、必要にして十分なクオリティと価格を両立させたプラスティック製品を追求致しました。勿論プラスティック製品に関するノウハウについては、まだまだ満足しておりませんが、新幹線とC62形によって得られました経験は今後の製品作りで活かされ、よりご満足の頂ける製品をお届けすることを確信しております。直近の製品であるC55形,C57形をご覧頂ければ私どもの努力の一端はご理解頂けると存じますが、今後更により良い製品作りを目指す所存です。
また、製品の生産数が多少不足気味であるとのお叱りを頂戴しております。
本来プラスティック製品は同じ物を大量に作ることにメリットがあるのですが、真鍮製品でご支持を頂いた特定ナンバー機をREADY TO RUNで楽しんで頂ける様、機種毎の作り分けを行い、大変手間の掛かる配管を1本1本手作業で取り付けるなどの理由で、通常のプラスティック製品の様に簡単には量産できません。
入手出来なかった皆様には大変申し訳なく思いますが、何卒ご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
平成17年3月1日
株式会社 天賞堂 代表取締役 新本 秀章