EH500形は、交直・青函での機関車交換を減らし、関東~北海道を結ぶ貨物列車のスピードアップを狙うと同時に、老朽化した機関車を置き換える目的で開発された、H級初の交直流電気機関車です。
急勾配区間を擁する東北本線、長い連続勾配が続く海峡線での運用を想定したことから、ED75形・ED79形重連相当の性能を持たせるため、D級電気機関車を2輌つなげたような2車体連結構造となっています。
1997年(平成9年)に試作機901号機が誕生し、翌年から約2年にわたる性能試験を経て、2000年(平成12年)から量産機の製造が開始されました。
量産機は大きく1-3次型に分類されますが、その中でも改良・変更された部分が多く、目立つところでは屋根上の排気口形状やヘッドライトの位置、塗装の色・塗り分けなどが挙げられます。
EH500形の大多数は仙台総合鉄道部に配置され、東北本線を初めとして広範囲で運用されていますが、2016年(平成28年)の北海道新幹線開業により青函トンネルを走行できなくなったため、北海道へ渡る運用は終了し、青函区間は後任のEH800形へとバトンタッチしています。
一方、2007年(平成19年)から門司機関区にも新製配置が開始され、幡生操車場~福岡貨物ターミナル(当初は北九州貨物ターミナルまで)での活躍を始めました。
門司機関区配置機は、仙台総合鉄道部配置機と運用線区が全く異なることから、保安装置などに違いが見られます。
通常、貨物列車しか牽引しないEH500形ですが、2017年(平成29年)に実施された、JR発足30周年を記念したツアーの一環で、上野から東仙台信号場まで「カシオペア』の牽引にあたりました。
ヘッドマークこそ掲示されなかったものの、EH500形と『カシオペア』の組み合わせは大きな注目を集めました。
先立って実施された試運転では6号機・21号機、12月5日の本運転では30号機がそれぞれ充当されています。