「16番ゲージ」に、職人魂を吹き込む天賞堂。これを力説すると、我々は一部のお金持ちしか相手にしていないように思われがちですが、そんな考えは一切ありません。むしろ今は、子どもたちを中心に多くの方々に鉄道模型の楽しさ、素晴らしさを実感して欲しいと願っています。その具現化が、2009年12月から販売している「Zゲージ」。線路幅6.5mm、1/220スケールと、食玩を連想させる大きさです。D51で長さは10cmに満たないという小ぶりなサイズながらも、「16番ゲージ」で培った技術を遺憾なく発揮し、細部にわたるまで精密に仕上げました。走りの性能にも絶対の自信があります。学習机のような狭い場所でも、「走らせて楽しむ」という鉄道模型本来の快感を味わっていただけるでしょう。
現在考えている次へのステップは、ジオラマの導入。入門者用のスターターセット商品を用意して、鉄道模型がどれほど楽しく、深い世界なのか広く世に訴えかけたいと思います。個人的な思いとしては、やはり親子連れでご来店いただき、多くのお子さんに触れて欲しい。この大きさであれば、玄関や応接間に置く「動くインテリア」にしても面白いと思います。これまではあまり鉄道模型に関心をもたれなかった女性にも楽しんでいただける、そんな大きな可能性を秘めていると考えています。
いずれにしても「日本型Zゲージ」はまだ産声をあげたばかり。黎明期と言っていいでしょう。ですからレールのインフラを含め、どんな試行錯誤も厭わない覚悟はできています。テレビゲームや携帯ゲーム機に向かう子どもたちの視線を、ほんの少しでいい、鉄道模型に向かわせたい。その思いでいっぱいです。