「グランドコンプリケーション」を世に放つとき、大量の在庫を抱えるかもしれないという懸念があった。このとき会長の新本秀章は「万が一売れなかったら社員一人ひとりが2個ずつ買えばいい」と言い放つ。挑戦にはいつもリスクがつきまとうが、世の中は天賞堂のモノづくりへのこだわり、志の高さを認めた。
10年20年と所有してその良さがわかるものを。海外ブランドにも負けない一生ものの時計を。これらの思いだけが原動力である。そして、いくら人気を博そうとも他店へ卸したり大量生産を行わないのは、メンテナンスやサービスの質を保つため。限られた社員により、限られた顧客に対して責任を持つこと。それが天賞堂のポリシーとも言える。