模型サイト いちかわのWorld Railway 第20回 Explorer Railcars(オーストラリア)

天賞堂製品ミュージアム

いちかわのWorld Railway

はじめに

"Welcome to this program"
"This is Takumi Ichikawa"
"Hello again!"
"How are you?"
"And, How was your hobby life??"
"Folks, please read here all the way through"

" Experience is the name everyone gives to his mistakes"
By Oscar Wilde(1854-1900)

西暦2003年、平成15年という月日も残すところあとわずかな日々となりました。
まずは、今回もこのプログラムを開いていただきまして本当にどうも有り難うございます。
ささやかながら、心よりお礼を申し上げます。
さて、この1年の間、皆様方にとりましては、どのような日々をお過ごしになられましたか?
そして、2004年は??
"昨年とほとんど同じでしたョ!"という方々や、"いや〜今年は多忙ではあったが、とても楽しく、寒い駄洒落一杯で" ・・・(←それはあなた自身じゃないの?!=Yes, I did)などと、人それぞれにこの時期になれば、どことなく自然とこの年における自分自身の姿が浮かんでくるのではないでしょうか?
そして、今年最初のプログラム(第13回目)にて、お尋ねしました、"What are you New Years resolution?"の結果はいかに・・・??
師走の忙しさの折、ふとした時間、頭上に広がる青い空でもぼんやりと眺めながら、各自がそれぞれにこの1年の月日を振り返ってみるとすれば、今年収穫できた多くの事柄、その数々を再確認できるはず。
厳しき年の瀬かもしれませんが、来る2004年に向け、お互いに心から助け合い、元気一杯で乗り切りましょう!!
さて、今回で20回目を迎えることとなりましたこのプログラム、いちかわたくみのWorld Wide RailWays!!では、第3回目の連載以降、久しぶりの登場となる国、オーストラリアにスポットライトを当ててみたいと思います。
今回の連載につきましても、私なりの視点からで、大変恐縮ですが、精一杯頑張って、熱い気持ちを抱きながら、この筆を進めてまいりますので、最後まで宜しくお付き合い下さい。
それでは・・・・・

Let's Reading!!

第20回目 Explorer Railcars(オーストラリア)

1.オーストラリアとは?(How do you feeling about this country?)

突然ではございますが、同国の位置確認から・・・・。
(※まずは、私が書いた特製の手書き地図をご覧下さい。)

しっかりとご確認できましたか?
オーストラリアは、私たちの住む日本を基点に、そのまま素直に下れば、赤道を越えたその先にある、南半球で最も広大な土地を持つ国家です。
そのため、5つもなる多種多彩に区分された自然な気候帯を持ち合わせております。
① 熱帯雨林性気候
② 熱帯性気候
③ 砂漠性気候
④ 亜熱帯性気候
⑤ 温帯性気候
古代、この地はアジア大陸に属したものでしたが、年月を追うごとに、次第に分離し、その居所をなぜか?地球上でのダウン・アンダー(ずっと下)とも表現される位置に大きく移動した。
長旅の結果、この地に咲き誇る花々や、生息する動物といった類は、アジアとはすっかり異なり、われわれの持つイメージとしては、コアラやカンガルー、そして、今から25年程前のあの当時、日本国内において紹介され、一時、お茶の間の人気者となったエリマキトカゲ等、大変珍しい生き物が数多く生息している土地というのが、一般的ではないのだろうか。
この大陸の人類による歴史を簡単に探れば、5〜6万年前に東南アジアから渡来したアボリジニが最初の主人であった。
他にある多くの大陸からは完全に隔離されていた土地柄のため、彼らの天下が長らく続いた。
15世紀に入ると、その存在が認知され、まずは中国からの貿易船が大陸北岸に上陸し、お互いの交易活動がスタートした。
17世紀頃からは、欧州地域の間で「南方に大陸が存在する!」といった噂が流れ、数多くの探検家たちが大小さまざまな夢を抱き、持ち、まだ見ぬ新大陸に向け、それぞれに飛び出していった。
18世紀に入ると、航海技術が著しく進歩したが、まだまだ多くの困難と自然環境の影響などにより、具体的なかたちで、その存在を明らかとさせないままの未知なる大地であった。
1770年4月28日、ついに英国の大冒険家の一人、ジェイムズ・クックがシドニー郊外のボタニー湾付近に上陸を果たし、同年8月よりクックは、大陸の東海岸一帯を英国領とすることを宣言。
追って、英国による大陸の植民地化事業が次第に進行していく。
1788年1月26日、フィリップ総督率いる流刑船団が、多数の自由移民や商人らを乗せ、侵略的なかたちでシドニー・コーヴに入植し、定住をはかる。
ある者は沿岸地域で、またある者は広大な内陸の各土地に新天地を求めて、その第一歩を歩き始めた。
1851年、相次いでヴィクトリア州付近で金鉱が発見され、一連の所謂、ゴールドラッシュ時代を迎え、さらなる大陸内への人口流入(※この時は中国からの移民が中心)が進み、そのため、それまでいた人種との間で争いが絶えず、各植民地間にて、移民を制限する会議が開かれた。
このため、1901年には連邦制度が導入され、6つの州と2つから成る政府直轄地区を具体的に明らかとしたものであったが、その具体的な基本政策の一つには、白人優位の主義を単純に通例化し、実施するといった類もあった。
(※後年、1960年代、ブラック・アフリカンの台頭により、1973年にこの種の主義は完全撤廃され、現在では、各個人がそれぞれに持ち寄った、祖国の伝統文化を基礎とした、ありとあらゆるものを吸収、反映した上での、開かれた平等社会間となっている。(=多文化主義(マルチカルチャリズム)
1926年には、英国からの自治権が認められ、正式な形で独立。
1927年、それまでの臨時首都であったMelbourne(メルボルン=Victoria州)から、今現在も国内最大級の都市として成長を続けている Sydney(シドニー=NSWの州都)、その南西約300kmの地に新設。(※この当時、新首都設置をめぐって、両州がもめた経緯があります)
2001年現在、約31万3,000人が暮らす首都・Canberra(キャンベラ)は、連邦政府直轄の特別地域(英訳・Australian  Capital Territory)と位置付けられ、政府の各機関はもとより国会議事堂、各国の大使館などの数々が置かれた、完全計画都市となり、今世紀中には100万都市を目指す目標を掲げている。
さて、ここまで今回もいろいろとこの国の姿、歴史を簡単ですが、書き綴ってきましたが、ご理解いただけましたか?
私自身、これまで20回に渡り、この連載にて、この種の紹介記事を前半部分に書き続けてまいりました。
毎回、さまざまな文献や各種情報等を納得いくまで調べ上げ、吸収し(=理解)、その後においては、多くの掴んだ事柄を可能な限り、自分なりの言葉でまとめ、吐き出す(=表現する)といった一連の作業を地道に行ってきました。
何故?天賞堂という鉄道模型メーカー、そのホームページ上に書かれた単なるプログラムなのに、このような項目をわざわざ載せ、本来の模型紹介記事を後半にするの? 鉄道模型製品のみ追求すれば良いんじゃないの?? ・・・ごくまれに、真顔で、直接聞かれてしまう質問の1例です。
その答えをここで改めて、具体的に申し上げておきたいと思います。
たしかに、模型メーカー、そのホームページの連載であるので、上記の事柄については、とても重要視すべき事柄です。
しかし、ただ闇雲に、鉄道、その模型製品の紹介ばかりを行い、毎度毎度、ページをアップするのみでは、大変つまらなくなり、ある段階からは一種の偏りを感じ取りました。
これからも、この世には、数多くの製品が存在し続けることでしょう。
そして今後、もしかしたら?実際にあなた自身の大切なコレクションの一員として、これまで紹介したそれぞれの製品たちが、加わる機会が巡ってくるかも知れません。
それら(模型)をキッカケに、まだまだ無限であろう、他の多くの事柄についても、興味を抱き、学び、そして例えわずかでも追求心を維持するならば、その後においては、それぞれの個々において、この趣味に対する信念を、以前よりも一層深く感じ取ることができ、広い視野を持って、十二分に楽しめるはずではないだろうか。
要は、趣味を中心に、バランス感覚の取れた教養を身に付けることが今後は、今以上に必要となっていくと思っております。
模型という趣味のみならず、さらに多くの事柄について、共に楽しみ、学びたいものです。
このコーナーの終わりに、いつものように基礎データを紹介しておきます。(参考にして下さい)

オーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)


●首都 Canberra(キャンベラ・人口約31万3,000人)
●国内総人口 約1,829万人
●国土面積 約774万1,000平方キロメートル
(実寸約768万2,300平方キロメートル・世界の約6%)
●主要言語 英語(Aussie English)
●通貨単位 $A(オーストラリア・ドル)(※1豪ドル=0.6674米ドル=約\79.99)
●GDP 約6,414億豪ドル(1人あたり約33.28豪ドル)(2003年6月30日現在)
●主要産業 サービス産業
●国花 ユーカリ、フカアカシア
●国歌名 Advance Australia Far
作詞・作曲者 P. D. MC Cormick
●人種構成 アングロサクソン系欧州人、他
●宗教区分 キリスト教(カトリック・英国国教会)約67%
無宗教 約15% 他 (2003年6月30日現在)
●政体 立憲君主制
●元首 エリザベス二世(英国女王)※通常は、連邦総督が王権を代行する。2003年8月11日
マイケル・ジェフリー退役陸軍少佐が就任。
●議会 二院制 上院  76名(任期6年)
下院  150名(任期3年)
●政府 首相 ジョン・ウインストン・ハワード氏(自由党)
外相 アレキサンダー・ダウナー氏

☆メモ 最新の情報は、オーストラリア観光局
(http://www.australia.com)からも知ることが可能です。

2.旅の体験記(Cairns&Sydneyを歩く)(Visited Cairns & Sydney)

"Hi, G'day, Mate! (=Hello, Good friend!)"で始まった、今回のオーストラリアへの旅路。
今年は、限られた個人資金を駆使し、はるかかなたの国の再訪問(※前回の号に紹介済み)、そして、これに続いて、約1ヶ月後には、私自身、再び海を横断する機会を得ることができました。
(※まずは、何分チャンスを与えていただいたことに心から感謝しております。Thanks million!!)
さて、このような事柄ばかりをこのプログラムにて書き続けておりますと、"いちかわは何者だ?"とか"いつも海外にいるの?"等のご意見や感想をお持ちになられる方々もいらっしゃるかもしれません。
・・・が、日ごろは毎日、毎日、来る日も去る日も、このプログラムをお読みいただいているあなた方と同じように、就業中は可能な限り、自己の持ちうる力を出し、働き(at 本店4階)、その前後には、上手い駄洒落もままならないまま〜、このプログラムの執筆の種を探し続け、ちっとも上達しない英会話、そのカセットテープの音に耳を傾け(通勤時)、ほっとした暁には、未だに完成しない、できない、鉄道模型の仕掛かり品を眺めながらも、異国情緒たっぷりの模型を片手に、それぞれをもとに数々のうつつを抜かしているような、日々を送っております。
前置きが大変長くなりましたが、オーストラリアを訪れたのは約10年振りのことです。前回は、1994年のことであり、シドニーのみでした。(※連載の第3回目に紹介済みです。)





1.Cairns(ケアンズ)に吹く風から・・・・・
今回の旅での主な滞在地となったのは、Queensland(クイーンズランド)州のCairns(ケアンズ)という人口約13万人の田舎町でした。(要地図 確認)
日本の成田・新東京国際空港を夜8時に離陸しますと、約7時間後の早朝5時頃(時差有)には、同国に足を踏み入れることとなります。
眠っている間に赤道を越えたため、私たちの住んでいる日本とこの国の間では、時差こそほとんどないのですが、季節がまるで正反対のため、出発地(東京)の外気温よりも、私が訪れたこの時の最高気温(日中)は、驚くところ、15度以上も高く、とても熱い土地でした。(年間平均気温24.7℃)この街をぶらぶらと何気に歩けば、初夏という季節の影響もあったかもしれませんが、行き交うこの人、過ぎ去るあの方々、この地に住んでいる全ての動植物が、ゆったり、のんびりとした、生活環境を持ち合わせており、それぞれの空間を謳歌しているようでした。
"あたかも時間が止まったかのようだ!"
日々、忙しく、慌しい生活を送り続けてきた今までについて、多少なりとも疑問を抱いてしまったのは・・・私の感想。
生活環境が異なるとここまで異なるのかな??
(今後、いろいろと見習うべき箇所もありそうです。)

2.Sydney(シドニー)にて・・・
終日、先で紹介しましたCairns(ケアンズ)に滞在し、純な自然と心ゆくまで、触れ合って過ごすのも良かったのですが、ここは1発、せっかくオーストラリアに来たのだからとの強い思いと合わせ、また、前回(1994年訪問)以降、どの位、いろいろな面でこの都市に変化があったのか?私自身、とても興味深くなったため、限られた1日という時間でしたが、国内線を使い、かなりの強硬なスケジュールで、往復してききました。
早朝6時50分にCairns(ケアンズ)国際空港を離陸。
シドニー着陸までの約4時間、そのほとんどの航路は、所謂グレート・バリアリ—フと呼ばれる東海岸沿いを、ただただ一直線にひたすら飛び続けます。(復路は、何故か?大分水嶺山脈沿いの陸地でしたが・・・)
今日の天候は、まずまずの快晴。
10時40分、シドニー・キングスフォードスミス国際空港に無事到着。
すでに数日前、Cairns(ケアンズ)国際空港にて、厳格な入国審査と検疫は済んでおり、すぐさま空港ターミナルの外に出られる運びとなりました。
シドニーの中心街までどの交通機関を使おうかな?と考えることなく、往復共に、2000年のオリンピック開催時に作られたCity Railの空港連絡用鉄道路線に乗り、約10分の後には、この州(N.S.W=ニュウ・サウス・ウェルズ)の交通の要所、その一大ターミナルの一つと位置付けられている、Sydney Central(シドニー中央)駅に降り立つこととなりました。
その後、シドニーの中心的な各エリアに向けて、ノコノコと心赴くまま、足を運んでいったことは、自然な流れです。
ロックス、ハーバー・ブリッチ、オペラハウス、王立植物園など、限られた時間内でしたが、とにかく廻り巡りました。
歩き回っている間に、街で、シーサイドで、多くの人々の行きかう姿を垣間見て、飛び交う言葉に、そっと耳を傾けてみれば、明らかに前回訪れた時に感じた空気とは、違っておりました。
2000年開催のオリンピックの影響でしょうか?
すれ違う人々、話されている言葉も、さまざまで多種多彩。
その上、エキゾチックで元気一杯。
あたかもこれらの光景は、"Big Apple"と称されている、アメリカ合衆国のニューヨークと同じ雰囲気であるとも感じてまった私です。
古き良き英国気質の伝統を継承しつつも、躍進する今。
21世紀を迎え、ますますの発展がこの地にあることでしょう!!

3.Cairns(ケアンズ)&Sydney(シドニー)の鉄道ガイド(Guide to Both Railways)

序所に、このプログラムの本題へと進みます。
このコーナーでは、私自身が今回訪問しましたオーストラリア国内、その2つの都市における実際の鉄道について、可能な限り、レポートをします。

1.Cairns(ケアンズ)の鉄道





Cairns(ケアンズ)の鉄道、その運行と管理は州営組織であるQueensland Rail(QLD州鉄道公社)が事業を展開している。
この組織が州内にて、鉄道を始めて開業したのは、今から約138年前の1865年7月31日。
そして、その線路幅は、主にわが国の在来線と同じ、1.067mmの3フィート6インチの狭軌間を標準として、採用し続け、今日も旅客・貨物部門共々、オーストラア国内では最も積極的で、躍進感漂う、大変前向きな経営努力を行っております。
Cairns(ケアンズ)、同地を地理的な観点より再度確認すれば、この州内では、最も北に位置している地方都市です。
州都である、Brisbane(ブリスベン)は、ここから約1,500キロに下った南にあり、私たち日本人観光客らにとっては、さんご礁連なる、美しき世界遺産の海を持っている、あのGreat Barrier Reef(グレート・バリア・リーフ)、その玄関口としてのみ、特に有名ではないだろうか?
さて、先のコーナーにおいても、Cairns(ケアンズ)は、約13万人の田舎町と表現した位に、人口密度が低く、この都市内の鉄道輸送は、殆どゼロだと言っても差し支えないはず。
(※やはり、自動車が公共交通の主人公的な存在でした)
Cairns(ケアンズ)駅の時刻表を眺めれば、1週間で定期的にやって来るのは、この都市から州都に向け、車中で1〜2泊を過ごせる設備がある長距離寝台列車(The Sun Lander号)と、2003年6月15日以降、新しく投入された振り子式機能を持っているDMU(旅客用ディーゼル列車)の"Tilt Train(ティルト・トレイン)という列車軍のみ。
(※このコーナーの後半部分に、写真を紹介します)
そして、実は、上記とは、少々異なった毛並みを持ち、1日2往 復ですが、毎日確実に運転し、定期ダイヤを維持している列車もあります。
ご承知の皆様も多いかもしれませんが、内陸の町・Kuranda(クランダ)との間を片道約1時間45分で結ぶ、観光鉄道です。
(☆正式名称・KURANDA SCENIC RAILWAY)
乗車時に駅で受け取ったパンフレットによれば、開通から今日まで、約113年の長い歴史があり、その敷設したルートの殆どは、熱帯雨林を切り開いたため、敷設工事は、特に困難を極めたとのこと。
今日では、太古の熱帯雨林に直に触れられる、Queensland(クィーズランド)州唯一の観光路線として、多くの観光客らに愛され続けている。
(※結局、私自身、往復乗車しちゃいました!)
◎Kuranda(クランダ)観光鉄道ミニ・ガイド
1、 発車時刻
●Cairns(ケアンズ)駅発 ★8時30分、9時30分

●Freshwater(フレッシュ・ウオーター)駅発 ★8時55分、9時55分

●Kuranda(クランダ)駅発 14時00分、★15時30分
(注意)土曜日は、★星のみの運転です。
クリスマスを除き、毎日運転です。
2、 基本運賃(※他に各種パッケージチケット有り
片道   往復
大人      A$34.00 A$48.00
子供(4~14歳) A$17.00 A$24.00

★"Tilt Train(ティルト・トレイン)" の紹介



(写真提供・天賞堂模型部 高沢哲郎氏)

2.Sydney(シドニー)の鉄道ガイド・・・

11時02分、Sydney Central(シドニー中央)駅に到着。
降り立ったプラット・ホームから覗かせた数々の光景は、10年という長い年月を一瞬にして忘れさせ、過去と現代との間を瞬時に、そしていとも簡単に結びつけた。
行きかう人々、すれ違う多くの鉄道車両達は、はるばる北半球からやって来た、この1人の旅人をただただ素顔で受け入れ、自由で素朴な風を与え、そして心ゆくまで未知なる事柄について、多くを教えてくれた。
今日、Sydney(シドニー)を走る鉄道は、この都市の位置関係により、New South Wales(ニュー・サウス・ウェルズ)州,その政府直轄組織で運行されており、レール幅については、世界標準軌間の1.435mmです。
州都の近郊旅客区間の約200kmは、すでに電化が完了済みであり、比較的高頻度で、日々、通勤通学のための輸送が行われております。(※州の路線距離は、全長約7,000kmにも上っている)
元来、この都市は、オーストラリアという国家にとって、国内初の鉄道として、1848年に設立した私営組織であったSRC(Sydney Railway Company)が、植民地政府からの多大な資金援助等で、敷設した事に始まっている。
1981年に正式発足したSRA(State Rail Authority of NS W)が、この事業の発展を多いに高め、今日と同じ路線網を形成する形となったのだが、他方、発足以来受け続けて来た資金が、完全に返済不可能な状況までに陥った証でもある。
以上の流れにより、結果として、政府に買収されたため、それ以降のこの都市、この州の鉄道事業は公営となった。
1996年頃までは、主に4つの部門(以下参照)に区分の上、鉄道事業に取り組んできた経緯がある。

★SRAの4部門の解説①(〜1996年以前)
① City Rail (首都圏輸送)
② Country Link (中・長距離輸送)
③ Freight Rail  (貨物輸送)
④ Corporate   (企画管理)

しかし、1995年6月にNSW州政府が発表した公共交通改革案と、州間の鉄道貨物輸送の一元管理下政策により、Freight Railの分離・公社化と合わせて、SRA自身は、同年7月以降、旅客輸送のみを扱う組織とされ、さらに6つに分離を行い(下記参照)、今日に至っている。

★SRAの6部門の解説②(1996年7月以降〜)
① City Rail (首都圏輸送)
② Country Link (中・長距離輸送)
③ Fleet Maintenance(車両の保守点検の管轄)
④ Network Control (路線管理公社)
⑤ Corporate Finance (財務・予算管理)
⑥ Business Service (人材活用等の資産運用)

さて、この辺でそろそろSydney Central(シドニー中央)駅に発着する車両について、ご紹介しましょう!
オーストラリア発祥の土地であるNSW州は、州面積が約80万1,600キロ平方メートルで、全土の約一割強(5番目に大きい)の面積ですが、この国の総人口の約1/3(約610万人)が住む一大都市圏のSydney(シドニ−)があるため、他の多くの州と単純に比較を行えば、鉄道による輸送率が高い。(貨物輸送が主体ですが・・・)
このため、勿論, Central(中央)駅に出入りする列車軍は、驚くほどに多種多彩である。
州内各地域間の輸送はもとより、州境を越え、隣接するQLD州、VIA州、そしてSA州の各州都に向けて、本当に多くの定期列車が走り抜けております。
このプログラムをお読みいただいていらっしゃる方々の中にも、具体的にその多くの列車名が浮んでくるかもしれません〜。
大陸横断の豪華寝台列車のIndian Pacific(インディアン・パシフィック)号やThe Ghan(ザ・ガン)号、そして英国のIC125をベースに開発された、電気式ディーゼル旅客特急のXPTなどなど・・・。
今回、追ってご紹介するこの列車は、そんな状況下の昨今において、日々わずかに、脚光を浴びつつあるものです。
先のコーナーにて、若干触れましたが、Sydneyから一路南西約300kmの地に新設された首都・Canberra(キャンベラ)との間を中心に結んでいる鉄道車両です。


(主な参考文献)
オーストラリアの鉄道がわかる本(髙木茂著・成山堂書店発売  ¥2.000+税)
オーストラリア鉄道の旅     (毎日ムック刊・毎日新聞社発行 ¥952+税)

2004年を迎えて・・・・・( A Happy New Year 2004')

新年、明けましておめでとうございます"
連載の途中ですが、まずは心より申し上げる次第です。
昨年12月以降、約1ヶ月間に渡り、ひっそりと書き綴り、年内の本アップを目指していたのですが、師走の忙しさと共に、少々、体調を崩した理由等により、気がつけば、すでに新春2004年を迎えており、結局、足掛け2年という月日に渡ったものとなってしまいました。
この連載を、心より楽しみにしていただいている皆様には、心よりお詫び申し上げる次第です。
さて、このプログラムをお読みいただいているあなたは、2004年のお正月をどのように過ごしましたか?
そして、今年1年の抱負って何でしょうか??
いろいろと各自、それぞれにポジティブなお答えが聞こえてきますね!
とにかく、年頭にあたって、その決心をひそかに胸に持ち、今年も頑張りましょう!!
ちなみに、私自身は、この連載を継続するということが今一番の課題ですが、合わせて、昨年同様に日々、お寒い駄洒落とブロークン英語を発しながらも、(← 西洋かぶれと言わないで下さい。他国の言語を学ぶという行為は、結局のところ日本という国の言葉や文化を改めて見つめ直すことです。)自己の生活をエンジョイし、模型を楽しまれている方々に可能な限りでサポートを行う・・・という以上の事柄のみとしました。
"2004年もどうぞ宜しくお願い申し上げます"

5.Explorer Railcarsの基礎知識(Basic XPL)





突然、Explorer Railcarsと言われ、その車両は・・・・??と大いなる疑問を持たれた方々がほとんどではないだろうか。
フランスのTGV、アメリカ合衆国のAmtrackならば、多くの知識と数々の乗車したご経験をお持ちの方々も多いはず。
ここで正直申し上げます。この車両はマイナーです。
もともと、オーストラリアの鉄道について、今日まで日本国内においては、全くと言っても良い位、紹介された例もこともなかった歴史が、勢い同国の鉄道と、この車両のすべてをマイナーな部類に押しやってしまったようです。
さて、そのような大変厳しき折ですが、ここは一発!この未知なる車両、このExplorerRailcarsについて、私なりに、限られた文献をもとに進めてまいります。
デビューは今から約11年前の1993年10月でした。
最初に投入されたこの編成は、主にSydney からNSW州の地方都市の一つあるTamworth間の旅客連絡輸送に使われた歴史に始まる。
車体構成は、同州の標準的な仕様であるステンレス製とし、看板的な列車である、XPTと同じ電気式のディーゼル動力を搭載しておりますが、日中のみでの使用につき、寝台設備は持たず、座席定員数は、2両編成時で93名、3両編成時では、163名となっておりますが、多客時には、流動的なかたちで、各ユニットを連結、最大5両編成で運転されております。
ちなみに基本3両編成、その具体的な車両区分は以下のおりです。
●EA=運転室付き1等(42席)+ビュッフェ車両
●EB=2等(66席)中間車両
●EC=運転室付き2等(48席)車両
(※荷物室とトイレの設備も完備)
デビュー前の最高速度試験では、160km/hを記録しましたが、その後、今日までの営業時においては、145km/hが最高速度とされ、運用区間も先で紹介した都市は勿論、現代では、SydneyよりArmidale やMoreeそして首都のCanberraに向けて、走り続けております。
将来、Sydney〜Canberra間に、TGV方式の高速新線が建設、開業の予定となっており、すでにこの車両の一部は、これまでのXPL運用を離れ、都市圏輸送のCity Railの部門に譲渡、転用される仲間も出てきました。
この事柄については、今現在、私自身、不完全なため、詳しい事情につきましての説明はできません。
正確な情報等が収集できました暁には、追加レポートをしますので、お楽しみに!!

6.Explorer Railcarsの鉄道模型製品(Model Railway of XPL)













冒頭、まずは私自身が今日まで、感じ、経験そして理解したオーストラリアにおいての、鉄道模型関連の事柄につきまして、若干ですが、書き綴ることからスタートする流れとします。
今から20数年前、この国においての、この種の趣味、そして業界は、一般的な状況から判断しても限られたものでした。
特に、定期的に発行されている、模型趣味誌からその様子を伺い知ることができます。
当時、この国における一般的な完成模型と言えば、欧州型のMarklinとFleishchmann、米国型では、Athern等でした。
そして、これらの輸入製品と合わせて、常に安定供給されるオリジナルの製品?も、実は、ささやかながらですがありました。
その多くは、驚くところ、昨年(2003年)夏頃に、倒産してしまったあの!LIMA社(イタリア)でした。
しかし、これらのほとんどは、当時、他国(※英国や米国)で、すでに発売されていた車両群、そのラインナップの完全流用品のため、模型をより一層、模造品化した!と判断しても、とりたてて間違いのない状況の品々でした。
今日、同国の模型環境も若干ですが、変わりました。
基本的には、それほど大きくマーケットが拡大したようでは、ないようですが、先に書きました有名メーカーを基礎に、完成品の分野では、Power line社やAustrain社(中国製造)が、そして、勢いここ5〜6年の間に、多数のガレージメーカーが誕生し、純なオーストラリア型の車両やストラクチャーを製造し、販売活動をしております。
その規模は、大小さまざまですが、皆一応に熱心で、自国の鉄道を心から愛しているようです。
さて、今回、この連載中に、ご紹介するExplorer Railcarsも熱心かつ堅 実に、そして大変前向きに多くの製品化を今日まで行って来ましたメーカーのものです。
発売元は、首都特別地域内にあるLloyd's Model Railways というところです。
製品内容、その基本である構成は、バラバラのキット状態となっておりますが、車体本体を中心に、台車、デカールそして、動力までも入っている完全なコンプリートであるため、追って購入する部品類は、下地処理剤と塗装用具類を除けば皆無です。
それでは、順に詳しく製品内容を見ていきましょう!
1.車体関係と台車
共にプラ製でもなく、金属(真鍮)製でもない素材です。
多分、わが国の鉄道模型界においては、この種の素材を使い今日まで製品化された例は、ほとんどなく、ごく一部のメーカーの車両(Nゲージ)キットのみのはず。
そうです!この基本素材は、一般的に"キャスト"と呼ばれいる樹脂製(注)です。
(※1/43スケールの自動車模型では結構有名)
実は私自身も、先方にコンタクトを取り、自宅に届いた暁にこのワンピースでできた車体を見た時には、大変驚きました。
(キャストの成型技術が素晴らしい!)
そして、次の瞬間、以前所属していた、本店2Fでの数々の物作りに対する熱い志と共にささやかですが、自分なりに吸収し、今現在は、すっかり脳裏の片隅に追いやられてしまった各種の素材に対する一連のノウハウが、再び蘇ってきました。
そして、その後・・・ 
恥ずかしきながら、荷物を受け取ってからの本日までの間、本格的にこのキットの組み立て作業は行っておりません。
・・・というのは、これら一連のキャスト製キットは、どのような環境下であろうとも、一定の期間(少なくとも半年程)、そのままの状態で置いておき、素材の伸縮が完全に止まるのを待つ必要があるからです。(目安=素材色の変化を見極める)
もし?すぐさま組み立てと塗装作業を行ってしまったら、最悪の場合、接着した部品は取れ、塗装した表面には、亀裂が走ることがあるかもしれません。
(最も、全てのキャスト製模型が当てはまりませんが・・・)
そろそろどうやらこのキットも伸び縮みが収まりました。
美しい側面のモールドに心から敬服しながら、屋根上に付属の別エッチングの換気口でも取り付けることからスタートします。
なお、参考までに、キャスト製模型を製作する時には、各種接着剤(瞬間とエポシキ)とパテ類、そして、塗装の下地処理時の段階にグンゼから発売中の、レジン用プライマー・サフェイサー(品番B517)などのスプレ−の利用をお勧めします。
本塗装の時には、プラモデル用塗料をお使い下さい。
キャストに塗装することは、あたかも、油分がてんこ盛りの石鹸に乗せる感覚と同じですから・・・・・・。
(注)レジン(キャスト)とは・・・・
手作りの原型をシリコーンゴムで型取り、この複製型に注型剤の無発砲ポリウレタン樹脂を流し込んで、完全硬化させた模型製品です。
一般的に、プラキャスト、ウレタンそして、レジンと呼ばれておりますが、基本的な製造工程については、どれも上記と同じやり方です。
近年では、この種の素材と技術も飛躍的な進歩を遂げ、製品本体の段差や気泡についても、著しい改善が成されております。
2.付属の動力について・・・
まずは、左写真をご覧下さい!
何だか?どこかの国の、あの動力機構と同じ雰囲気ですね。
どうやら、この付属動力は、今日まで天賞堂が発売し(製造・花園製作所)、多くの皆様方にご愛用いただいている、WBシリ—ズのオーストラリア版のようです。
製品名は、その姿、形から"Black Beetle"と命名され、そのモ—ターは、驚くところ日本のMashima(マシマ)製品を使いVictoria州所在のSteam Era Modelsという模型店が総発売元となっております。
さらに次の左写真では、単純に当社のWBと比較しました。
どうですか?本体の大きさ、車輪の取り付け位置等々、少々異なっており、もし?追って、日本型に流用すると考えれば、車体の床板部分(アングル位置)の工夫が必要なようです。
今日、腰高?のオーストラリア製模型に多く使われている動力のひとつです。

最後に今回ご紹介しました、Explorer Railcarsの製品データーとショップの情報を書いておきます。 

●発売製品
Country Link Explorer Railcars キット
基本2両セット(EA+EC)  A$295
増結中間車(EB)      A$125
※レギュラー製品は、キット形式ですが、別にオリジナルの完成品もあるようです。

●製造・発売元
LLOYD'S MODEL RAILWAYS 社
住所   P.O.BOX57 Kippax A.C.T AUSTRALIA
ホームページ www.lloydsmodelrail.com.au

終わりに・・・・・(End of this Story)

いかがでしたか・・・?
今回の第20回目では、足掛け2年に渡り、広大な国土を持っている、オーストラリアの魅力、その鉄道、そして、NSW州のCountry Link Explorer Railcars、このキャスト製キットをご紹介しました。
本文の中でも、いろいろと自分なりでしたが、見聞き、経験した事柄も加え、可能な限り書き綴ってきましたが、この連載に対する、あなたのご意見やご感想はいかがでしょうか?
帰国の後ですが、一連の写真を整理中にこんな言葉が浮かび上がってきました・・・・・
"Let us permit nature to have her way;She understands her business better than we do"By Michel de Montaigne
日々、多くの方々より、激励と励ましのお言葉をいただき、心より感謝を申し上げる次第です。
2004年も私自身、好奇心旺盛に、この地球上にある鉄道、その模型を求めて、東西南北に向かって元気一杯で走り続けます。(どうぞご期待下さい!)
"Thank you very much for your read here all the way through"
"It's a great honor for me to write the all program, I do think"
"I hope I would like to keep good contact with you."
"Relax With Model Railways!!"
(All contents wrote by Takumi Ichikawa)

いちかわのWorld Railway

《この文章に登場する鉄道模型は、主に当社で扱っている商品ですが、連載の中には扱っていない商品もありますので、あらかじめご了承ください》

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