序所に、このプログラムの本題へと進みます。
このコーナーでは、私自身が今回訪問しましたオーストラリア国内、その2つの都市における実際の鉄道について、可能な限り、レポートをします。
1.Cairns(ケアンズ)の鉄道
Cairns(ケアンズ)の鉄道、その運行と管理は州営組織であるQueensland Rail(QLD州鉄道公社)が事業を展開している。
この組織が州内にて、鉄道を始めて開業したのは、今から約138年前の1865年7月31日。
そして、その線路幅は、主にわが国の在来線と同じ、1.067mmの3フィート6インチの狭軌間を標準として、採用し続け、今日も旅客・貨物部門共々、オーストラア国内では最も積極的で、躍進感漂う、大変前向きな経営努力を行っております。
Cairns(ケアンズ)、同地を地理的な観点より再度確認すれば、この州内では、最も北に位置している地方都市です。
州都である、Brisbane(ブリスベン)は、ここから約1,500キロに下った南にあり、私たち日本人観光客らにとっては、さんご礁連なる、美しき世界遺産の海を持っている、あのGreat Barrier
Reef(グレート・バリア・リーフ)、その玄関口としてのみ、特に有名ではないだろうか?
さて、先のコーナーにおいても、Cairns(ケアンズ)は、約13万人の田舎町と表現した位に、人口密度が低く、この都市内の鉄道輸送は、殆どゼロだと言っても差し支えないはず。
(※やはり、自動車が公共交通の主人公的な存在でした)
Cairns(ケアンズ)駅の時刻表を眺めれば、1週間で定期的にやって来るのは、この都市から州都に向け、車中で1〜2泊を過ごせる設備がある長距離寝台列車(The Sun
Lander号)と、2003年6月15日以降、新しく投入された振り子式機能を持っているDMU(旅客用ディーゼル列車)の"Tilt Train(ティルト・トレイン)という列車軍のみ。
(※このコーナーの後半部分に、写真を紹介します)
そして、実は、上記とは、少々異なった毛並みを持ち、1日2往 復ですが、毎日確実に運転し、定期ダイヤを維持している列車もあります。
ご承知の皆様も多いかもしれませんが、内陸の町・Kuranda(クランダ)との間を片道約1時間45分で結ぶ、観光鉄道です。
(☆正式名称・KURANDA SCENIC RAILWAY)
乗車時に駅で受け取ったパンフレットによれば、開通から今日まで、約113年の長い歴史があり、その敷設したルートの殆どは、熱帯雨林を切り開いたため、敷設工事は、特に困難を極めたとのこと。
今日では、太古の熱帯雨林に直に触れられる、Queensland(クィーズランド)州唯一の観光路線として、多くの観光客らに愛され続けている。
(※結局、私自身、往復乗車しちゃいました!)
◎Kuranda(クランダ)観光鉄道ミニ・ガイド
1、 発車時刻
●Cairns(ケアンズ)駅発 ★8時30分、9時30分
↓
●Freshwater(フレッシュ・ウオーター)駅発 ★8時55分、9時55分
↑
●Kuranda(クランダ)駅発 14時00分、★15時30分
(注意)土曜日は、★星のみの運転です。
クリスマスを除き、毎日運転です。
2、 基本運賃(※他に各種パッケージチケット有り
片道 往復
大人 A$34.00 A$48.00
子供(4~14歳) A$17.00 A$24.00
★"Tilt Train(ティルト・トレイン)" の紹介
(写真提供・天賞堂模型部 高沢哲郎氏)
2.Sydney(シドニー)の鉄道ガイド・・・
11時02分、Sydney Central(シドニー中央)駅に到着。
降り立ったプラット・ホームから覗かせた数々の光景は、10年という長い年月を一瞬にして忘れさせ、過去と現代との間を瞬時に、そしていとも簡単に結びつけた。
行きかう人々、すれ違う多くの鉄道車両達は、はるばる北半球からやって来た、この1人の旅人をただただ素顔で受け入れ、自由で素朴な風を与え、そして心ゆくまで未知なる事柄について、多くを教えてくれた。
今日、Sydney(シドニー)を走る鉄道は、この都市の位置関係により、New South
Wales(ニュー・サウス・ウェルズ)州,その政府直轄組織で運行されており、レール幅については、世界標準軌間の1.435mmです。
州都の近郊旅客区間の約200kmは、すでに電化が完了済みであり、比較的高頻度で、日々、通勤通学のための輸送が行われております。(※州の路線距離は、全長約7,000kmにも上っている)
元来、この都市は、オーストラリアという国家にとって、国内初の鉄道として、1848年に設立した私営組織であったSRC(Sydney Railway
Company)が、植民地政府からの多大な資金援助等で、敷設した事に始まっている。
1981年に正式発足したSRA(State Rail Authority of NS
W)が、この事業の発展を多いに高め、今日と同じ路線網を形成する形となったのだが、他方、発足以来受け続けて来た資金が、完全に返済不可能な状況までに陥った証でもある。
以上の流れにより、結果として、政府に買収されたため、それ以降のこの都市、この州の鉄道事業は公営となった。
1996年頃までは、主に4つの部門(以下参照)に区分の上、鉄道事業に取り組んできた経緯がある。
★SRAの4部門の解説①(〜1996年以前)
① City Rail (首都圏輸送)
② Country Link (中・長距離輸送)
③ Freight Rail (貨物輸送)
④ Corporate (企画管理)
しかし、1995年6月にNSW州政府が発表した公共交通改革案と、州間の鉄道貨物輸送の一元管理下政策により、Freight
Railの分離・公社化と合わせて、SRA自身は、同年7月以降、旅客輸送のみを扱う組織とされ、さらに6つに分離を行い(下記参照)、今日に至っている。
★SRAの6部門の解説②(1996年7月以降〜)
① City Rail (首都圏輸送)
② Country Link (中・長距離輸送)
③ Fleet Maintenance(車両の保守点検の管轄)
④ Network Control (路線管理公社)
⑤ Corporate Finance (財務・予算管理)
⑥ Business Service (人材活用等の資産運用)
さて、この辺でそろそろSydney Central(シドニー中央)駅に発着する車両について、ご紹介しましょう!
オーストラリア発祥の土地であるNSW州は、州面積が約80万1,600キロ平方メートルで、全土の約一割強(5番目に大きい)の面積ですが、この国の総人口の約1/3(約610万人)が住む一大都市圏のSydney(シドニ−)があるため、他の多くの州と単純に比較を行えば、鉄道による輸送率が高い。(貨物輸送が主体ですが・・・)
このため、勿論, Central(中央)駅に出入りする列車軍は、驚くほどに多種多彩である。
州内各地域間の輸送はもとより、州境を越え、隣接するQLD州、VIA州、そしてSA州の各州都に向けて、本当に多くの定期列車が走り抜けております。
このプログラムをお読みいただいていらっしゃる方々の中にも、具体的にその多くの列車名が浮んでくるかもしれません〜。
大陸横断の豪華寝台列車のIndian Pacific(インディアン・パシフィック)号やThe
Ghan(ザ・ガン)号、そして英国のIC125をベースに開発された、電気式ディーゼル旅客特急のXPTなどなど・・・。
今回、追ってご紹介するこの列車は、そんな状況下の昨今において、日々わずかに、脚光を浴びつつあるものです。
先のコーナーにて、若干触れましたが、Sydneyから一路南西約300kmの地に新設された首都・Canberra(キャンベラ)との間を中心に結んでいる鉄道車両です。
(主な参考文献)
オーストラリアの鉄道がわかる本(髙木茂著・成山堂書店発売 ¥2.000+税)
オーストラリア鉄道の旅 (毎日ムック刊・毎日新聞社発行 ¥952+税)