写真はhttps://hiveminer.com/Tags/etr400%2Ctiより拝借
ETR(Elettro treno Rapido)400型の第一編成(標記:ETR400.01)は2013年3月26日に、旧Ansaldo Breda S.p.A(アンサンド・ブレダ)社→現:HITACHI Rail Italia S.p.A(日立レール・イタリア)社のPistoia(ピストイア)工場内において初のお披露目を行い、この式典において同編成には、"Pietro Mennea"と名づけられた。
この名称は、1980年開催のモスクワ・オリンピック陸上競技男子短距離200m走の金メダリストのピエトロ・メンネア(Pietro Paolo Mennea)というイタリアの選手に由来する。
驚くところ、19秒72という彼の競技記録は1996年のアトランタオリンピックにてMichael Duane Johnson(マイケル・ジョンソン)氏が破るまで17年の間も保持した驚異的な記録である。
ETR400型車両は、イタリア高速鉄道の一ブランド名である、Frecciarossa(フレッチャロッサ="赤い矢"という意味)の1000やETR1000と様々な呼び名がありますが、今回の連載ではETR400で統一をし、"Zefiro"(ゼフィロ)シリーズいうBombardia Transportation(ボンバルディア トランスポーテーション)社の高速鉄道車輌のシリーズに属してはいるが、アンサンド・ブレダ社が独自に開発を進めていた"V250"と称された高速鉄道車輌の高度な技術も入っていて、今回の連載記事を書くにあたり色々と調べていましたら、驚くところ!2016年2月25日にはイタリア鉄道で最速の393.8km/hという記録も樹立。
ちなみに初回&増備分共に開発と生産区分では、ボンバルディア社は約40%で、アンサンド・ブレダ(現:日立レールイタリア)社は約60%の割合で担当していて、最初の受注時(第一編成)の入札提示金額は、アルストム(Alstom)社の3500万€に対し、ボンバルディア・アンサンドブレダ(Bombardia・Ansaldo Breda)連合は、約420万€も下回った価格(3080万€)を出したが、決めては単に提示総額だけでは無く、やはり高い技術力であった。
同車は、第一編成投入後の2013年より2017年迄の4年間に既に50編成400両を両社で製造→納入を行なって来たのだが、2019年6月上旬のトレニタリア社からの公式発表では、増備として両社へ追加発注がなされ、8輌編成14本分(計112両)の製造と、そして保守業務の受注まで獲得をし、総額は5億7500万€(約698億円)に上る見込み。
本形式のデザインは、何故か?既存の鉄道車輌に携わってきたイタリアのデザイン界では"超"の付くほどに有名なピニンファリーナ(Pininfarina)やイタルデザイン・ジウジアーロ(Italdesign Giugiaro)等々ではなく、ベルトーネ・デザイン(Bertone Design)が、人間工学を最大限に取り入れた車内、そして大型押出型材を多用したアルミ製ダブルスキンの外装、その全てに関わって新規開発。
このETR400は、それまでのイタリア鉄道の顔として君臨してきた動力集中編成のETR500型車両とは、大きく異なったコンセプトを持ち、基本編成は8輌(ETR500は11輌)の動力分散、制御方式はIGBTコンバータ・インバーターを本格採用。
各車輌の両端には、デッキとトイレ、もしくは乗務員ドアが設置してあり、4クラスの客室とビストロ車。
内訳は、DM1(エグゼクティブクラス),TT2(半室ビジネス)、M3(半室がビジネスバー)、T4(プレミアムクラス),そしてT5,TT7,DM8(以上迄はスタンダードクラス)等々で区分。
同車の日々の運行は、イタリア国鉄(FS Ferrovie dello stato)を民営化して誕生したTrenitalia Spa(トレニタリア)社で、営業区間は、今のところはMilano(ミラノ)~Roma(ローマ)間で活躍する姿が際だっていますが、それ以外の主要な各都市間も最速300km/hで結んでいて、近い将来には高速新線区間内での走行時には最速400km/hの営業運転の計画もある。
また、イタリア国内はもとより、将来的には、欧州各国(例:フランス、ドイツ、スイス、スペイン等々)への直通運転の実用性も考慮しており、TS1という基準(⇒1例では300km/h走行時に25m離れた場所での騒音は91dB以下)も取り入れ、勿論!複雑に異なっている各国の電源方式や信号システムの搭載も可能とした設計となっている。
近い将来には欧州大陸内の様々な都市にて、赤い矢のETR400を見られる事でしょう!!
- ◇主要諸元
- ・運行会社:Trenitalia SpA (トレニタニア社)
- ・製造会社名:Ansaldo Breda→HITACHI RAIL ITALIA社
Bonbardia Transportation社
- ・製造年:2013年~2017年(最初の50編成)
2019年6月には14編成追加するとの公式発表!!
- ・基本編成:8輌
- ・レール幅:1,435mm(鉄道界での標準サイズ)
- ・駆動源:架空電車線 交流25kV/50Hz 直流3000V
- ・主制御装置:IGBT VVVFインバーター制御×4両
- ・主電動機:かご形三相誘導電動機×4×4両
- ・編成出力:約9,800kW
- ・制動装置:回生、電気&空気 各ブレーキシステム搭載
- ・最高時速:300km/h(2019年現在)
- ・編成重量:約446t
- ・編成長:202,000mm
(先頭車両:26,300mm 中間車両:24,900mm)
- ・車体幅:2,924mm
- ・車体高:4,080mm
- ★主な参考文献
- Wikipedia
- FS 公式ホームページ
- HITACHI RAIL ITALY S.p.Aホームページ
- Italian Railway Locomotives and Multiple units (Platform 5 publishing) 他・・・